2016年10月5日水曜日

これも台風の影響かな?

山をあるけば木の実を拾ふ句を拾ふ
(『山頭火大全』講談社 1991年)
EテレサイエンスZERO「“折り紙”大進化! 宇宙から医療まで」の番組の中で

斉藤一哉(東京大学生産技術研究所)さんは
テントウムシの翅は体の3倍にも広がる。
これを人工衛星にパネルなどに応用しようという研究をされている。
テントムシの翅の中心部にダイヤのような折り込みがあり,縦にだけでなく,
横にもたためるようになっている。
生物から教えてもらうことができれば,彼らが進化の中で
最適化してきた一番よい答えというものを教えてもらうことができます

このことを繁富 香織(北海道大学)さんが「生物模倣」と解説されて
テントムシを「折り紙の大先輩」と評されていた。
 頂上や殊(こと)に野菊の吹かれ居(を)  原石鼎(はらせきてい)

『花影』(昭12)巻頭句。
初期の「ホトトギス」で石鼎を一躍有名にした27歳時の作。
明治45年から一年余り,村医となった次兄の助手役として吉野山の山中深く暮らした当時の句である。
丘の頂上の光景をありのままに詠んでいるが,
「頂上や」の単刀直入に続く「殊に」が,
無造作で的確で生きているため,句は澄んだ秋空のもと,
それ自身風に溶けて自在に吹かれている感がある。
(『新編折々のうた』大岡信/朝日新聞社 1983年)
 高い木の上にいてるけど♪
キビタキ
 林の中ほどの空間をよく利用する。
たとえば大木のいちばん下の大きな枝などにとまっていて,飛んでいる昆虫を探している。
ただし,オオルリやコサメビタキほどには特定の見張り場をもたない。
また,さえずるのもこうした空間に突き出た枝の上。
秋は若いオスがまだメスと同じ色をしているので,茶色いキビタキを見かけることのほうが多い。
それだけに,晩秋に黄色く鮮やかなオトナのオスを見るとはっとし,まだいたのかと感動がひとしおだ。

(『鳥のおもしろ私生活』)
 コサメビタキだと思っているのですが…




草がくる犬蓼の穂すがれては何にかきみがまなこ慰む  吉野秀雄
(『わが胸の底ひに 吉野秀雄の妻として』吉野登美子/彌生書房 1978年)
いとけなく葉間に生ひていちじくの実
(『しづ子』)
ざくろも古い構(かま)えのこのへんまでおまつり  萩原井泉水
(『日本の詩歌19』)
酔芙蓉驟雨(しうう)呼ぶらし今まさに
(『花句集』中村汀女 求龍堂 昭和58年)
秋はもののひとりひとりぞをかしけれ空ゆく風もまたひとりなり
(『若山牧水歌集』)
もう南の方に渡って行ったと思ったのだけど…
これも台風の影響かな?
〝モズの高鳴き七十五日〟の諺のように,
初秋に梢高く〝キチキチキチ……〟とけたたましく鳴くモズの鳴き声を耳にする。
 モズが高鳴きを始めて,七十五日目に初霜がおりるからという寒さに対する警鐘でもあるが,
実は,秋から冬にかけては,獲物も少なくなり,なかまが近くにいては獲物の分け前が少なくなるため,
一生懸命〝なわばり〟を宣言しているわけである。

(『都市のバードウォッチング・バイブル』千羽晋示・柳沢紀夫著 朝日出版 1981年)
秋たちてうすくれなゐの穂のいでし薄のかげに悲しむわれは
(『日本の詩歌8 斎藤茂吉』)