2016年6月7日火曜日

降る寸前で…

苔(こけ)
コケ植物の総称。
語源は木の幹に生じるので,木毛(こけ)だといわれる。
漢名の苔(たい)はもとはミズゴケのことで,
「治(ち)」(水を治める)の略体に草冠をつけた字。

(『動植物の漢字がわかる本』加納喜光 山海堂 2007年)
   五月(さつき)過(す)ぐるまで,ほとゝぎす鳴かざりければ
相連(あひつ)れて旅かしつらむほとゝぎす合歓(ねぶ)の散るまで声(こゑ)のせざるは
(『良寛歌集』東郷豊治 創元社 昭和38年)
早朝や夕方,小雨が降るような肌寒い日は,
いつもチョウがたくさん飛んでいるような場所に行っても,
空を舞うチョウの姿はほとんど見られない。
彼らは草の葉の裏などに,翅を閉じたままとまってじっとしているのだ。
体が小さいシジミチョウの仲間だと,頭を下にしていることが多い。

(『虫のおもしろ私生活』ピッキオ編著 主婦と生活社 1998年)

 ハナアブはその名の通りよく花を訪れ,
花粉や蜜を食べながら花から花ヘと花粉を運ぶ虫だ。
名前にはアブとついているが,どちらかというとハエに近い。
黄色と黒のしまもようをしている種類が多く,
同じように花を訪れるハチの仲間に擬態しているといわれている。
しかし複眼が大きく触角が短いハエっぽい顔をしているので,
なれてしまえば見分けるのは簡単だ。

(『虫のおもしろ私生活』ピッキオ編著 主婦と生活社 1998年)
花げしのふはつくやうな前歯哉 一茶

あてやかにもろいけしの花びら。
まさに「ふはつく」であるが,ぬけそうになっている前歯のあぶなかしい感じを,
よくも季題と結びつけたもの。
(『日本古典文学大系58 蕪村集 一茶集』 暉峻康隆・川島つゆ 岩波書店 昭和34年)
けし畑や年貢の沙汰にかゝはらず

○けし畑 年貢の対象外。
(『井月句集』復本一郎編 岩波文庫 2012年)
コクチナシ


ほのかなる紅さにわれを唆りゐし花にも慣れぬ梅雨が続けば
(『中城ふみ子歌集』菱川善夫編 平凡社 2004年)
糸で結ばれているのは(*^▽^*)
ムラサキクンシラン(紫君子蘭 別名:アガパンサス)

ニワナナカマド
柘榴(ざくろ)
ザクロ科の落葉高木。西アジアの原産。
初夏,橙黄色などの花を咲かせる。
球形の果実が生り,熟すと裂けて,種子が現れる。
古代のイランに安息〔あんそく(安石(あんせき)とも)〕という国があった。
紀元前2世紀,中央アジアに使いした漢の張騫(ちょうけん)が,
中国にない珍しい植物を携えてきた。
これが安石榴(あんせきりゅう)と名づけられた。
安石はイラン語 arsak の音訳という。
後に安が省略され,石榴,若榴となり,日本に伝わったとき,
石榴の呉音ジャクルが訛って,ザクロとなった。
また,日本では偏をそろえて,柘榴とも書く。
柘は本来シャという音で,ハリグワの意味をもつ字であるが,
榴はザクロのために特別に作られた字である。
手榴弾や榴散弾の榴は,
裂けると種子が多数現われるザクロの果実に譬えている。
柘榴の果実は種子がいっぱい詰まっているので,
洋の東西を問わず,豊穣多産の象徴とされる。
子を食う鬼子母神(きしもじん)に,
仏が柘榴を与えて悔い悛めさせたという説話がある。

(『動植物の漢字がわかる本』加納喜光 山海堂 2007年)
十薬を抜き捨てし香につきあたる
(『花句集』中村汀女 求龍堂 昭和58年)


アオモンイトトンボ
今朝は,雨の予報だったので望遠レンズを持ってこなかった(T^T)
出会った時は,手水を見ているだけですぐに木の陰に入った。
ヒヨドリがいたので用心したみたい(・・?
 庭の夏草 茂らば茂れ 道あればとて 訪(と)ふ人もな

古来「夏草」は恋心の繁き思いに悩む意にもたとえられるので,
待ち人の訪れぬ不実を嘆く女の歌か,
あるいは失恋して捨て鉢になった様子をの歌と解するべきであろう。
(『新訂 閑吟集』浅野健二校注 岩波文庫 1989年)