2016年3月5日土曜日

啓蟄

【ナズナ】Capsella bursa-pastoris
「七草なずな」と云われるように,この七草の右代表がナズナである。
葉をつまんでにおいを嗅ぐと特有のな香りがする。
七草粥独特の香り,このナズナの香りと云ってもよい。
大昔,今日のように多種の野菜がなかった時代,
このナズナは,恰好の葉菜として食べられていたらしい。
青物の少ない冬の間,深い切れ込みのある若緑の葉は,何か食欲をそそられる。
私も,戦中から戦後へかけての食糧難時代に,
ナズナを採ってきては,ひたし物として食べた想い出がある。
特有な香りと歯触りは,栽培物の葉菜にはない,自然の恵みの味わいがする。
三寒四温となり,春霞が靄(もや)る頃になると,株元から薹立(とうだ)ちして,
白いごく小さな花を,小帽子をかぶせたようにして密集して咲かせる。
よく見れば,花びらは四枚,アブラナ科植物特有の十字形花だ。
雑草の花と見過ごされやすいが,春の野辺に寝転んで,
まわりに咲くナズナの花を見ていると,ああ,春がやってきたナ,との感が深い。
ナズナの語源には幾つかの説があるようだ。
愛すべき菜,ということから,撫菜(なでな)から由来するとも,
密生するところから,馴染む菜がナズナに転化したとも云われる。
実際に,その若緑の葉は撫でたくなるし,密集して生えている様は,
お互いに馴染み合って生えているようにも見える。
どちらの説にも軍配を挙げたくなる。
(『柳宗民の雑草ノオト』毎日新聞社 2002年)
サクラの木を秋からビニールハウスでおおって温めたら,花はいつ頃に咲くか?

サクラだけでなく,モモ,ナシ,リンゴ,コブシ,モクレンなどの春に咲く樹木は,
開花する前年の夏にツボミをつくる。
ところが,もしそのまま秋に花を咲かせると,
その後の冬の寒さのために種をつくれず,子孫を残せない。
だから,これらの樹木たちは,春まで花を咲かせないしくみを持っている。
それが冬を越すための堅い芽「越冬芽」である。
夏にツボミをつくった芽は,秋頃,越冬芽になる。
お正月にこの越冬芽から花を咲かせるためには,
「暖かくすればよい」との思いが浮かぶ。
そこで,12月初旬からソメイヨシノをビニールハウスでおおい,ハウス内を温める。
しかし,花は咲かない。
ところが,2月上旬からハウス内を温めると,2月下旬に花が咲くのだ。
12月から温めても咲かないのに,2月から温めたら早く咲くのは,
「12月には,越冬芽がまだ冬の寒さを感じていないから」である。
サクラは,寒さを感じた後で暖かさを感じると「春が来た」と思い,
花を咲かせる用心深い植物なのだ。

(『クイズ 植物入門』田中修 ブルーバックス 2005年)
 ヤマガラが小首を傾げて(^。^)
どなたかがヒマワリの種をまいてくださっているみたい。




「花は櫻木人は武士」といふ諺がある。
花は櫻を第一とするといふことと武士は四民の第一だといふこととをたとへたまでのもので,
櫻が武士と同じだといふことでは無いと思ふし,昔らもさう考ひて来たと思ふ。
然るに,近頃になつてはこの諺の本の意味をすなほに解釈しないで,
或る特別の意味をもつてゐるものとして説く人が往々見えるやうだ。
 
  (P440~441)

散るといふことはいづれの花にもある現象であつて櫻の特色であるとはいはれまい。
それならば櫻の特色はその散り方の潔いのをさすのであろうか。
しかし,散り方の最も潔いのは


(略)

椿の花を第一とする。
けれども昔からこの散りぎはの潔い椿を武士に比したことをきかない。
しかしながら椿は散るといふよりは落ちるといふ後の方が適してゐるやうであつて,
昔から御幣(ごへい)をかつぐ者共は忌み嫌つたことさへある。
椿とはちがつた散り方をし,しかも最も鮮やかな散り方をするのは
○○の花である。
  (P442~443)
(『櫻史』山田孝雄 山田忠雄 講談社学術文庫 1990年)

桜の花が戦前,国策に利用されていましたね…
山田孝雄氏の「はな」という文章は,昭和13年に中央公論に発表されています。
「最も鮮やかな散り方をするのは○○の花」は何の花だと思いますか(^_-)
ミミカケ(耳欠け)のお腹が大きいような感じがしました。
 巻第一 春歌上 38
    梅の花を折りて人におくりける   紀友則
君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る

あなたのほかに誰に見せましょうか,この梅の花を。
色も香もわかる人だけがわかるのですから。
○君 『万葉集』では,女性から男性を呼ぶ語であったが,
この時代には,男女いずれに対しても用いる。
(『新版 古今和歌集』高田祐彦訳注 角川ソフィア文庫 2009年)
アオジ
 「いいかおり」ではなくて(*^▽^*)
花を愛でているのではなくて…

メジロは河津桜の蜜をなめにきていました(*^-^*)
松の木の中に…


エナガ
ヒヨドリがメジロを追い払っていました…
こういうところがヒヨドリの嫌われるところですね…
生存競争の厳しいのが野生の世界だけど…
こんなにいっぱい咲いているのに
なんか欲張りに見えてしまいますよね
ハラビロカマキリの卵鞘(らんしょう)のようです。
今日は「啓蟄」ですが,カマキリはまだ温かいゆりかごの中です(*^▽^*)
モモが色づいているけどシジュウカラは興味がないみたい(*^▽^*)
久しぶりに会えました♪
  野鳥界の松鳳山(*^▽^*)
シメ
細い枝をくわえていったけど…
背中が黒いですがハクセキレイ
セグロセキレイとは顔で区別します。